AMA Manualの11版で初めてsigns, symptomsの説明が Correct and Preferred Usage of Common Words and Phrases に追加された。たった2行だが。。。
“symptom” の訳は「症状」で、”sign”の訳は「徴候」というのはメディカル翻訳者であれば知らない人はいないだろう。
では、「症状」と「徴候」とはどういう意味か?
「症状」は、患者が自覚できる肉体的、精神的な異常のこと。他人には分からない主観的なもの。
例:悪心、めまい、掻痒、疼痛
「徴候」は、医者などの第三者が認める肉体的、精神的な異常のこと。検査結果など、他人が認識できる客観的なもの。
例:高血圧、心雑音
『薬事・申請における英文メディカル・ライティング入門』では、「症状」、「徴候」の両方に該当するものとして、咳嗽、湿疹、浮腫、血尿などを挙げている。
また、「症状」は、患者が主観的な状態を伝えるものであるため、獣医師が症状(symptom)という言葉を使うのは正しくない。
symptom (症状) と sign (徴候)に関連した翻訳で、自覚的症状(自覚症状)、他覚的症状という表現に出くわした人も多いと思う。
それらを英訳する場合には、以下のように注意する必要がある。〇が正しい英訳で、×は使ってはいけない訳を表す。
■自覚的症状(自覚症状)
[×] subjective symptom
[〇] symptom
■他覚的症状
[×] objective symptom
[〇] sign
ただし、以下のように説明している方(会社)も見かけたことがある。
■自覚的症状(自覚症状)
[〇] subjective symptom
[〇] symptom
■他覚的症状
[〇] objective symptom
[〇] sign
いずれにせよ、symptomとsignを使っていれば、どちらの派閥からもOKをもらえると思う。
参考までにPMDA内で各単語を検索した結果、ヒットした件数は以下の通り。(2022/8/24時点)
“subjective symptoms” site:pmda.go.jp:約 146 件
“objective symptoms” site:pmda.go.jp:約 7 件
“signs” “symptoms” site:pmda.go.jp:約 1,790 件
~~~ AMA Manualの記載情報 ~~~
symptom と signに関する記載は以下の通り。
■AMA Manual 9版
記載なし。
■AMA Manual 10版
記載なし。
■AMA Manual 11版
[章] 11.1 Correct and Preferred Usage of Common Words and Phrases
[ページ] P.530
[項目] signs, symptoms
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