“discontinue”は中止か中断か?

ニューイングランド師匠

2023/12/14の1番目のアブストラクト「非糖尿病の肥満におけるセマグルチドと心血管転帰」から。

[原文]
Adverse events leading to permanent discontinuation of the trial product occurred in 1461 patients (16.6%) in the semaglutide group and 718 patients (8.2%) in the placebo group (P<0.001).

[和訳]
試験薬の中止にいたった有害事象は,セマグルチド群では 1,461 例(16.6%)に発現し,プラセボ群では 718 例(8.2%)に発現した(P<0.001).

このアブストラクトでは、”permanent discontinuation”の訳が「中止」となっている。

以下の表のように、中断とか中止という意味を表す英語はいろいろあるが、中断を表す単語として “discontinue” と “suspend” があげられる。

中断中止
withdraw×
discontinue
stop×
terminate×
suspend×

参照元:薬事・申請における英文メディカル・ライティング入門 II

つまり、”discontinuation” だけだと「中断」と「中止」の両方がありえるため、”permanent”を付けることで「中止」ということが明確になる。

形容詞で言えば、“permanently” を付けると「中止」“temporarily” を付けると「中断」ということを誤解なく表現できる。

ただし、『薬事・申請における英文メディカル・ライティング入門 II』の中では、“permanently discontinue” と書くのであれば、”stop” や “terminate” を使った方が分かりやすく簡潔だとも付け加えられている。

これまでのアブストラクトを検索してみると、”discontinue” 単体で使われているものも多く、文脈から「中止」か「中断」かを判断することが多い。

“permanent discontinuation” の訳としては以下のものが見つかった。

2016/11/17_①
Permanent discontinuation of any study treatment as a result of adverse events occurred in 43 patients (9.7%) in the palbociclib–letrozole group and in 13 patients (5.9%) in the placebo–letrozole group.
有害事象により,パルボシクリブ+レトロゾール群の 43 例(9.7%)と,プラセボ+レトロゾール群の 13 例(5.9%)が投与を完全に中止した.

2023/1/19_③
Treatment-related adverse events led to permanent discontinuation of futibatinib in 2% of the patients.
フチバチニブの恒久的中止にいたった治療関連有害事象は,患者の 2%に発現した.

調べた結果、「恒久的中止」が使われている数が多いことが印象的だった。

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