3. 翻訳関連の団体(有料)

翻訳の勉強法

次に紹介するのは、翻訳学校ではないですが自分で勉強するために役に立つ団体を紹介します。ここでは入会費、年会費、セミナー代などがかかります。

(1) アメリア

入会費・年会費あり。定例トライアルは別途有料。
翻訳者ネットワーク「アメリア」は翻訳学校であるフェロー・アカデミーを母体としています。アメリアを介して、会員と翻訳会社とつないでくれるだけでなく、翻訳者としてスキルアップができる仕組みも利用できます。

私がアメリアに入会したのは2012年です。今年は2022年なので、ちょうど10年間会員を続けています。入会したきっかけは、自分の実力を試すために定例トライアルを受けたことです。アメリアでは定例トライアルという「仕事として通用するレベル」を審査基準に評価を受けられる翻訳の模擬試験が毎月開催されます。ジャンルとしてはメディカル、ビジネス、特許、IT・テクニカル、吹替、字幕、フィクション、ノンフィクション、金融など多岐にわたっています。対象となる分野は毎月異なり、応募には、1回につき1,650円(税込)の費用が発生します。どの分野を自分の専門にするかを迷っていたり、興味がある分野が複数あったりするのであれば、気の向くままに挑戦して自分の可能性、適性を評価してみるのも良いと思います。AA評価1回、または連続2回のA評価を得ることができれば、その分野のクラウン資格の称号を得ることができ、求人への応募の際に有利になります。

入会からしばらくの間は、メディカルだけではなく、IT・テクニカル、出版(ノンフィクション)、出版(フィクション)、実務(ビジネス)、実務(金融)、日英ビジネスなど、いろいろと応募ました。自分の経歴からすると、IT・テクニカル、実務(金融)がぴったりの分野なのですが、新たに挑戦したい分野は、英日、日英メディカル、日英ビジネスです。そして訳していて楽しかったのは、出版(フィクション)でした。将来的に1冊でも翻訳本を出したいという思いもあります。

アメリアに入会するメリットは大きく2つあると思います。1つ目のメリットは勉強のための情報が手に入るということです。定例トライアルを受けるのは有料ですが、過去の定例トライアルの課題、解説は無料で参照できます。20年近く前のトライアルから現在にいたるまでの課題の訳例および解説を読むだけでも勉強になります。私自身は、メディカル、日英メディカル、日英ビジネス、IT・テクニカルについては今でも必ず目を通すようにしています。それらのジャンルについては、過去の定例トライアルもすべてジャンルごとに1ファイルにまとめてあります。初期の頃のトライアル資料は画像ファイルになっており、うまくテキスト化できないのであきらめていますが、それ以外はほとんどがpdf形式になっており、学習資料としてまとめる上で便利です。

2つ目のメリットはアメリア経由で仕事を探すことができるということです。自分の専門分野や働き方など、様々な条件の求人から自分が応募したいものを見つけます。未経験であっても、応募できる求人もあります。クラウン資格を応募条件にしているものもあり、その点でクラウン資格を獲得しておくと有利になります。アメリアのサイトから直接応募でき、私自身もよく使っています。

この2つのメリットだけでも、年会費を支払ってアメリアに入会する価値はあるのではないかと思います。そしてこのメリットを十分に活用できたと思えば、退会すればよいだけです。少し、宣伝のようになってしまいましたが、企業案件ではありません。私の純粋な意見です。

(2) 日本メディカルライター協会

年会費あり。講習会等は別途有料。
日本メディカルライター協会は、健康・医療情報伝達における一般市民の啓発と、メディカルライターやヘルスコミュニケーターの育成を主な目標として、2006年5月に設立されました。そのため、翻訳というよりもメディカルライティングに関する協会なのですが、メディカルライティングの知識があれば翻訳者としての強みにもなると思います。

私は「メディカルライティング基礎講座」を受講したくて1年間だけ会員になりました。この講座は毎年開催されています。過去の資料を見ると、毎年大幅に内容が変わるわけではないと思うので、1度受講すればよいのではないかと思います。この他にも、Lee Seaman先生のセミナーも受講しました。多分その年が初回だったと思います。2022年の開催予定を見ると、メディカルライティングの講座が充実してきたように思います。翻訳者であれば1年間会員になり、その間にまとめて受講するというのも1つの手ですが、メディカルライティングを伸ばしていきたい場合は、継続して所属するのもアリだと思います。

(3) 日本翻訳連盟(JTF)

入会金・年会費あり。講習会等は別途有料。
JTFは実務翻訳を志す方であれば、ご存じの方がほとんどだと思います。私は数年前の森口理恵さんのセミナーに参加したことがあります。事前課題を対応したうえで参加し、直接解説を聞いてとてもためになりました。昔はセミナー開催後、結構後になってDVDも販売されていたので、交通費をかけて現地で受講するよりもDVDを購入して繰り返し見る方が良いかなと思っていました。現在ではセミナーはオンライン開催となっており、自宅で受講できます。またもやショックなことに気付きました。過去販売分も含めてDVDの販売が無くなったようです。後でDVDを購入しようと思っていたセミナーがあっただけに残念です。

(4) 日本翻訳者協会 (Japan Association of Translators)

年会費あり。講習会等は別途有料。
JATと書いた方が分かりやすいかもしれません。セミナー受講と「製薬専門日英翻訳ハンドブック」を見たいという思いから1年だけ会員になっていました。参加したことがあるセミナーは、JAT Pharma(メディカル)とJATLAW(リーガル)です。会社員時代は海外ベンダーとの契約にもかかわっていたため、法律英語も必要に迫られて勉強していたことがあり、契約書の英語も嫌いではないのです。

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