4. ネットに公開されている情報(無料)

翻訳の勉強法

無料で活用できる勉強の資料を紹介します。

(1) The New England Journal of Medicine国内版

The New England Journal of Medicineこそが、私の師匠でありペースメーカーであるといっても過言ではありません。毎週木曜日の夕方には、数個のアブストラクトの対訳が公開されます。そのアブストラクトの原文と訳文を読み、気になった単語や文をまとめることを10年近く続けています。アブストラクトを読み始めた当初は、実際に自分で訳して、訳文と比較するということをしていました。当時はメディカルの分野の知識などないため、1つのアブストラクトを訳すのに半日くらいかかっていました。分からなさ過ぎて気が遠くなるほどです。あまりにも時間がかかるので、途中からは、まず英文を読んで大まかに理解した後で、訳を見ながら気になる単語、フレーズ、文を対訳でまとめるやり方に変えて現在に至っています。まとめた単語の対訳を毎週ブログに載せることも数年前から続けています。

これまでは、一部を抜き出してまとめるというやり方をしていたのですが、文脈も重要であるため、アブストラクト全体の文章レベルの対訳をまとめることもしています。これは自分だけの資料として公開はしていません。始めたのは3年ほど前ですが、今でも続けています。

これだけ続けていると、今ではどんなアブストラクトも簡単に理解できると思われるかもしれません。現実はそう甘くはありません。私の記憶力の問題もあるかもしれませんが、メディカル分野と一口に言っても領域はかなり広いのです。頻繁に出てくる題材もあれば、ほとんど出てこない分野もあります。素人でも理解しやすい分野もあれば、とっつきに難くい分野もあります。内容の幅が広すぎるということは大変ではありますが、逆に言うと、扱う分野がいろいろと変わるため、幅広く知識を得るには最適です。また毎週定期的にやるという習慣ができるためペースメーカーとしても使えます。毎週、「ああ、もう木曜日か」とため息をついたり、対訳が公開されるアブストラクトは平均的に4つなのですが、5つある時はため息が出たり、3つの週は少しホッとしたり、2つの時なんて、ガッツポーズが出ます。まったく本末転倒です。本来であれば、対訳は多ければ多いほど、知識や対訳資産が貯まるのでありがたいはずなのですが。実際にこの対訳資産は実際の仕事でも非常に役立っています。対訳の出所が明確だということも良いところです。これは本当に大事だと思います。対訳集を作成する場合は、必ず出所の情報をたどれるようにしましょう。そしてその情報がある程度信頼できる(話にならないレベルではない)ようにするべきです。

The New England Journal of Medicineでは他にも活用できる情報があります。NEJM QUICK TAKEでは、特定のトピックに関して2~3分で説明してくれるビデオが毎週公開されます。文字だけでなく、音声や画像で見ると、単語の発音が分かるだけでなく、そのトピックに関する理解も深ます。驚くのは、そのビデオでの説明が非常にわかりやすいのです。これだけレベルの高いビデオを毎週、しかも無料で公開してくれるというのは素晴らしい以外に言葉がありません。

また、トップページに掲載されるREVIEW ARTICLEやCASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITALなど、数行ではありますが、日本語訳が書かれているところがあります。ここに出てくる単語はアブストラクトとは毛色が違うものが多く、最近はこれも対訳としてまとめています。


(2) 独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)

ICHガイドライン
翻訳時に参考にする情報として上位に来ると思います。特にICHガイドラインは必須だと思います。有名な翻訳者の方が書かれた記事を読むと、臨床試験関連では、以下のICHガイドラインについて用語メモを作成することを、ことあるごとに薦められています。私も対訳を作成しました。

E6: 医薬品の臨床試験の実施基準
E8: 臨床試験の一般指針
E9: 臨床試験のための統計的原則
E2A: 治験中に得られる安全性情報の取り扱いについて

※E6 (R1)については、PMDAのサイトに対訳となる日本語文書がありません。
以下のサイトに対訳があるので、そちらを見比べましょう。

⽇本医師会治験促進センター (http://www.jmacct.med.or.jp/plan/guideline.html)
[原文] ICH HARMONISED TRIPARTITE GUIDELINE GUIDELINE FOR GOOD CLINICAL PRACTICE
[和訳] ICH 医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)のガイドライン

■医療用医薬品添付文書の英訳ガイダンス
添付文書改訂等の安全対策に関連する通知等のページで以下を参照してください。

(別添)医療用医薬品添付文書の英訳ガイダンス

直接開くなら以下から。
https://www.pmda.go.jp/files/000229049.pdf


(3) 日本薬局方

日本薬局方とは、ホームページによると「日本薬局方は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第41条により、医薬品の性状及び品質の適正を図るため、厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて定めた医薬品の規格基準書です。」とのこと。これも非常に重要な資料です。

■日本薬局方
(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000066530.html)
■日本薬局方 英語版
(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000066597.html)

現在の日本語最新版は「第十九改正日本薬局方」ですが、英語の対訳があるのは、「第十八改正日本薬局方」までです。私の場合は、当時の最新であった「第十七改正日本薬局方」をもとに対訳を作成しました。対訳を常に最新化しておくことは難しいと思いますが、通則あたりの対訳を一度作成してみるとよいと思います。

第十七改正日本薬局方英文版原案作成要項PDFファイル
この資料は特に日英翻訳で役に立ちます。必ず目を通しましょう。


(4) 日本製薬工業協会

日本の薬事行政
この英語版は、以下に格納されていますので、日本語版と英語版の比較ができます。
Pharmaceutical Administration and Regulations in Japan (individual chapters)

2017年版で、途中まで対訳を作成していたのですが、あまりにも量が膨大なので途中で作業が止まっていました。そうしているうちに2020年版が発行されたため、必要時に原文を検索するという方針に変えました。

(5) 米国研究製薬工業協会

米国研究製薬工業協会のサイトのライブラリーに参考になる対訳がいくつか格納されています。その中でも、「医療用医薬品の添付文書等の記載要領について」は役に立つと思います。

「医療用医薬品の添付文書等の記載要領について」英訳版
これは「医療用医薬品の添付文書等の記載要領について」の英訳版です。翻訳は、厚生労働省及びPMDAの助言の下、米国研究製薬工業協会(PhRMA Japan)と欧州製薬団体連合会(EFPIA Japan)が共同で行っているとのことです。

日本語版の格納先であるPMDAのサイトも表示されているので、英語版と日本語版を比較できます。

(6) 毒性試験用語集

国立衛生試験所安全性生物試験研究センターからファイルをすべてダウンロードし、検索しやすいように全ファイルを結合して1つのpdfファイルを作成することをお勧めします。検索が非常に楽になります。

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