7. 書籍(有料)

翻訳の勉強法

まずは、メディカル翻訳に関する書籍から紹介します。

AMA Manual of Style

JAMA(Journal of the American Medical Association米国医師会雑誌)の編集委員会が作成する米国医師会のスタイルガイドです。AMA Manual of Styleは、多くの医学系、科学系ジャーナルにおける論文投稿規定のスタンダードとなっています。自分から調べることはもちろん、AMA Manualをもとに説明しているようなものがある場合に、実際に現物で確認すると記憶にも残りやすいです。

内容は以下の目次を参照してください。
https://www.amamanualofstyle.com/view/10.1093/jama/9780190246556.001.0001/med-9780190246556

書籍版だけでなくオンライン版もあります。オンライン版では定期的に最新に更新されるというメリットはありますが、毎年お金がかかります。私はAmazonで書籍版を購入しました。最新版は11版ですが、9版と10版も購入して、表現やルールの変遷を確認するといったマニアックなこともやっています。9版と10版は中古の安いものを2冊ずつ購入し、1冊は裁断してスキャナーでpdf化しました。製本版で読みたい場合もあるので、残りの1冊ずつはそのまま残してあります。
問題は11版です。私が11版をアマゾンで購入したのは2020年4月ですが、その時は約11,000円でした。2022年7月時点では約15,000円になっています。最近の円安のせいでしょうか。裁断用の11版を購入するのをためらっているところです。

薬事・申請における英文メディカルライティング入門(4冊)

書いてはみたものの、既に絶版で、中古市場でも恐ろしい金額になっています。絶版以前の正規の価格も1冊5000円程度で、書籍としては決して安くはありません。私がこの本を知った当時は、いきなり購入するのはためらわれたので、市立図書館に依頼して取り寄せてもらい、図書館内で読みました。持ち帰りは禁止されていました。その時は取り立てて素晴らしいとは思わず、よくあるメディカル翻訳の本程度の印象でした。しかし、それから1~2年後くらいに再度図書館に依頼して読み返したところ、その素晴らしさに気付き、即4冊まとめてアマゾンで購入しました。その後、多くのメディカル翻訳者がこの本を高く評価していることを知り、少しは自分にも見る目ができてきたかとうれしくなりました。それからほどなくしてこの本は絶版となり、ある意味伝説的な書籍になりました。最近も読み返しており、何度読んでも経験や状況に応じて新たに印象に残る箇所が出てきます。

高いお金を支払って入手しなくても、その気になれば私がやったように図書館で読むことはできると思います。一部であれば有料で複写することも可能だと思いますが、詳細は対象の図書館に確認してください。

メディカル翻訳・通訳 完全ガイドブック

イカロス出版が出しているメディカル翻訳・通訳に特化したムック本です。2年おきぐらいで発刊されます。私がメディカル翻訳に興味を持つはるか前から出されていますが、これも過去に出された9冊すべてを揃えて、これまでのトレンド変遷を眺めながら楽しんでいます。価格的にもそれほど高いわけではないので、最新版が出れば購入することをお勧めします。

臨床英文の正しい書き方

この本の素晴らしい点は、例文が充実していることに加えて、全文をpdfで提供しているところです。これがあると検索が非常に楽です。このpdfをコピーされてしまうと本は売れなくなってしまうのですが、読書の使い勝手を優先してくれたのでしょう。中古でもよいのでちゃんと購入しましょう。付属のCDが付いていれば、中古の安いもので十分です。

以降は、一般的な英語の書籍です。

日本人の英語

これは不朽の名著です。特に冠詞についての解説が勉強になります。繰り返し、何度も読みましょう。この本を読んでから著者であるマーク・ピーターセンさんの本をいろいろと読むようになりました。その中でもやはりこの本が不動の一位です。先週も読み返したところです。私が好きな章は「明治な大学」です。そして、英日案件で詰まるたびにマークさんのように日本語で「日本語がキライ!」と叫んでいます。

再び冠詞の本ですが、冠詞の説明に特化した本を3冊上げます。このうちの2冊程度読めばよいと思います。おすすめはとしては、読みやすい「英語冠詞大講座」に加えて、「英語の冠詞がわかる本[改訂版]」もしくは「例文詳解 技術英語の冠詞活用入門」を読むとよいと思います。

英語冠詞大講座:猪浦 道夫 (著)

以下所感です。
・見た目読みやすく感じる。
・例が多く見やすいため、調べたい時に参考書代わりに使える。
・同じことが何回も繰り返し書かれている。これは賛否があるかもしれないが、ページを移動して確認する必要がなく、私のように揮発性メモリーの人間にはありがたい。

英語の冠詞がわかる本[改訂版]:正保 富三 (著)

以下所感です。
・「英語冠詞大講座」よりも少し読みづらい。
・内容は「英語冠詞大講座」と似た感じだが、両方読んだ方がよい。
・発行日からいうとこちらの方が time-tested な先輩。敬意を払うべし。

例文詳解 技術英語の冠詞活用入門:原田 豊太郎 (著)

以下所感です。
・一見すると一番読みづらい。
・冠詞をどうにかして法則化しようと努力しているところに共感する。
 しかし、冠詞の使い方は例外も多く、後半では「筆者も法則化が無理と感じているのでは?」と心配してしまう。でもこの試み自体がすばらしい。
・上記2冊とは違った発見ができる本だと思う。

次は日本語の書き方の本です。

記者ハンドブック

一般社団法人共同通信社が出している日本語ルールブックです。ある翻訳会社のトライアルを受けた際に、準拠するように指定されたものです。恥ずかしいことに私はそれまで存在を知りませんでした。指定のスタイルガイドに従うくらいの感覚しかなかったのです。すぐにAmazonで購入して、そのトライアルには合格することができました。私自身は日英の方が好きで、そちらのスキルを伸ばしたいのですが、英日が全くできないというわけにはいかないので、頻繁にこの本を参照するようにしています。私が持っているのは13版ですが、最新の14版が2022年に出版されました。

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