[NEJM] “meaningful” な差について思ったこと

ニューイングランド師匠

2023/7/13の3番目のアブストラクト(重症外傷に対する病院到着前のトラネキサム酸投与)について気になったことを書いてみる。

決して何か問題があるという話ではなく、気になったのでちょっと調べてみたという話。

気になったのは以下の部分。

[原文] The number of serious adverse events, including vascular occlusive events, did not differ meaningfully between the groups.

[和訳] 血管閉塞性イベントをはじめとする重篤な有害事象の件数に,群間で意味のある差はなかった.

“did not differ meaningfully between the groups” の訳として「群間で意味のある差はなかった」としている。あえて「有意差」という言葉を使っていないと思われる。

実際の論文を見ると、Resultでは有害事象は群間で”similar“だったと書かれており、Discussionでは6 ヵ月の時点での良好な機能的転帰を伴う生存者の割合について “significant between-group difference” は無かったと書かれている。

アブストラクトでも”similar”とか”significant”を使えばよいのにと思ってしまうが、この論文の執筆者は同じ表現を使いたくないという思いから変えたのだろうか?

過去のアブストラクトを見てみると「統計学的に有意」かどうかを述べるために”meaningfully”を使っている(と思われる)例はある。

2016/11/10_④
[原文] Physical, role, and social functioning was stable in the nivolumab group, whereas it was meaningfully worse in the standard-therapy group.
[和訳] 身体機能,役割機能,社会的機能は,ニボルマブ群では変化はみられなかったが,標準療法群では有意に悪化した.

2021/05/13_②
[原文] The frequencies and types of adverse events did not differ meaningfully between the two groups.
[和訳] 有害事象の頻度と種類に,群間で有意差は認められなかった.

少し変化させて、”meaningful” で過去のアブストラクトを調べてみるとどうだろうか。

“meaningful”は、”clinically meaningful XXXX” のように使われることが多く、訳としては「臨床的に意味のあるXXXX」であった。

つまり、この場合、統計学的な「有意差」を示すものではない。

以下のように、”meaningful” と “siginificant” が同時に使われているアブストラクトもあり、両者が異なるものであることがよく分かる。

2018/06/28_①
[原文] enzalutamide treatment led to a clinically meaningful and significant 71% lower risk of metastasis or death than placebo.
[和訳] エンザルタミド投与による転移または死亡のリスクに,プラセボ投与との比較で,71%という臨床的に意味のある,有意な低下が得られた.

今回のアブストラクトに話を戻すと、「群間で意味のある差」といえば 「群間の有意差」そのものとも受け取れるが、あえて「有意差」という訳を使わなかったのを見て、「自分もそうするだろうなぁ」と勝手に推測したという話。

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