[NEJM] 因果関係の程度を表す表現

ニューイングランド師匠

2024/1/25の2番目のアブストラクト「動脈管開存症に対する選択的早期イブプロフェン投与の試験」から。

このアブストラクトでは、因果関係の程度を表す”possibly”が使われている。

[原文]
Two unforeseeable serious adverse events occurred that were possibly related to ibuprofen.

[和訳]
イブプロフェンに関連する可能性のある,予期せぬ重篤な有害事象が 2 件発現した.

では、”possibly”の他にどのような程度表現があるのだろうか?

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
PMDAのサイトで「ICH-E2 臨床上の安全性」のE2Aの対訳を見てみる。

[原文]
Many terms and scales are in use to describe the degree of causality (attributability) between a medicinal product and an event, such as certainly, definitely, probably, possibly or likely related or not related. Phrases such as “plausible relationship,” “suspected causality,” or “causal relationship cannot be ruled out” are also invoked to describe cause and effect.
However, there is currently no standard international nomenclature. The expression “reasonable causal relationship” is meant to convey in general that there are facts (evidence) or arguments to suggest a causal relationship.

[和訳]
医薬品と事象との因果関係の大きさを記述するために多くの用語,尺度が用いられるが,「因果関係があるらしい」,「因果関係が疑われる」または「因果関係は否定できない」のような用語は,因果関係を示唆していると考えられる。

原文には程度の表現として、
 certainly related
 definitely related
 probably related
 possibly related
 likely related
 not related

もしくは以下の表現が使われると書いてある。
 ”plausible relationship” ⇒「因果関係があるらしい」
 ”suspected causality” ⇒「因果関係が疑われる」
 ”causal relationship cannot be ruled out” ⇒「因果関係は否定できない」

E2Aの上記部分は英文と和訳が1対1対応ではなく、前半部分の程度表現については和訳が無い。

あとでも述べるが、原文に”there is currently no standard international nomenclature.”と書かれているように、英文自体に決まりが無く、そのため和訳も使用する会社によって異なる。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
PMDAのサイトにある別の資料「CTD 第 2 部 2.7 臨床概要 2.7.4 臨床的安全性」では「治験薬との因果関係の評価」の部分に以下の表現が使われている。

確実にあり⇒(Definitely related)
たぶんあり⇒(Probably related)
どちらともいえない⇒(Possibly related)
考えにくい⇒(Probably not related)
確実になし⇒(Definitely not related)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

少し古いが以下の資料「有害事象と投与薬剤の因果関係判定法に関する検討」も興味深い。

この中で投与薬剤との関連性の判定基準の例を以下のように示している。

■3段階の評価
 関連あり:probable
 多分関連あり:possible
 関連無し:unlikely
または、
 関連あり:obvious
 関連の疑いあり:possible
 関連なし:no relation

■4段階の評価
 関連あり:related
 多分関連あり:possibly related
 多分関連なし:possibly unrelated
 関連なし:unrelated
または
 可能性がある:probable
 因果関係は否定できない:possible
 因果関係は少ない:remote
 関連なし:not related
または
 明らかに関連あり:clearly related
 多分関連あり:probably related
 関連ないともいえない:possibly related
 関連なし:no relation

■5段階の評価
 明らかに関係あり:highly probable
 多分関係あり:probable
 関係あるかもしれない:possible
 関連ないらしい:remote
 関係なし:none
または
 あり:definitely related
 多分あり:probably related
 可能性あり:possibly related
 多分なし:probably not related
 なし:not related
または
 明らかに関連あり:definite
 多分関連あり:probable
 関連ないともいえない:possible
 関連がうすい:remote
 関連なし:no

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
最後に、ある教材では以下のような例が示されるとともに、評価の指標は研究者やメーカーによって表現が少しずつ違うが、論文内では表現を統一すべきと書かれている。

明らかに関連あり:Definitely related
たぶん関連あり:Probably related
関連あるかもしれない:Possibly related
関連ないらしい:Probably not related
関連なし:Not related
不明:Unknown

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

以上、ケースバイケースで翻訳しましょう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました