[NEJM] binary restenosis のバイナリーとは?

ニューイングランド師匠

2024/1/4の1番目のアブストラクト「膝下動脈疾患に対する生体吸収性薬剤溶出スキャフォールドと血管形成術との比較」から。

このアブストラクトでは “binary restenosis” という表現が出てくる。

単にバイナリーと聞くと、個人的にはバイナリーオプションという金融取引を思い出してしまう。

バイナリーオプションとは簡単に言うと、通貨が上がるか、下がるかの2択で予測する投資(投機?)のこと。

まぁ、そんな取引はやらない方が賢明だ。

話を戻して原文と訳文を見てみる。

[原文]
The primary efficacy end point was freedom from the following events at 1 year: amputation above the ankle of the target limb, occlusion of the target vessel, clinically driven revascularization of the target lesion, and binary restenosis of the target lesion.

[訳文]
主要有効性エンドポイントは,1 年の時点で次のイベントが発生していないこととした:対象肢の足関節より近位での切断,標的血管の閉塞,臨床的必要性による標的病変の再血行再建,標的病変の再狭窄(血管径の 50%超の再狭窄,または収縮期最大血流速度比 2.0 以上)

ぱっと見て引っかかるのは、”restenosis”だけで「再狭窄」という意味なのに、”binary”が付いている。何の意味があるのだろうかということ。

該当の訳文としては「再狭窄」に加えて「(血管径の 50%超の再狭窄,または収縮期最大血流速度比 2.0 以上)」という説明が追加されている。

これは、この論文の「再狭窄」の定義として、フルペーパーには書かれている条件を追記しているもの。

よくある定義だと50%超の方しかない。それを基準にどちらに当てはまるかという2択である。

ネットで”Binary restenosis”の定義を調べてみると以下のwikipediaの説明が真っ先に出てくる。

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Binary restenosis
Binary restenosis is traditionally defined as a reduction in the percent diameter stenosis of 50% or more (≥50%). It is also known as just “binary stenosis”. The term “binary” means that patients are placed in 2 groups, those who have ≥50% stenosis and those who have <50% stenosis. Binary restenosis is an epidemiological method of analyzing percent diameter stenosis for observing not only an individual patient, but also performing statistical techniques on group of patients to determine averages (descriptive measures of central tendency) or as a predictive variable.

出典:https://en.wikipedia.org/wiki/Restenosis#Binary_restenosis
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日本語サイトでは、”binary restenosis”を検索すると、「二分化再狭窄」や「バイナリー再狭窄」と訳されているものもあるが、単に「再狭窄」の方が多い気がする。

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